国内、海外問わずHSコード検索ツールが多く出ているようです。
FTA/EPA等を利用して関税削減をするにはHSの選定は非常に重要ですので
こういったツールを使用する事によって
簡単にHSコードが出せれば非常に効率的ではありますが、
本当にこのようなツールを使って確実なHSコードの選定ができるのか
という点で私の意見を書かせていただきます。
目次
HS検索ツールが有効な場合
HSコード検索ツールの良い点は簡単な品目分類であれば
一瞬でできる事にあります。
例えば「楽譜」のHSコードを調べたいとします。
HSコード検索ツールに「楽譜」と入れれば4904.00というHSコードが
出てくるのではないかと思います。
こういうパターンは品名とHSコードが直結しており、
例外がほぼ考えられないパターンですので
この場合はHS検索ツールが有効と考えられます。
しかし、HSコードの種類というのは1万前後しかありません
世界中のあらゆる貿易貨物を1万前後のHSコードに当てはめるのは不可能です。
「楽譜」のケースのように品名とHSコードが直結しない場合は
「通則」の定義に従ってどのHSコードに分類するかを検討します。
例えば観光地でよく使われる自撮り棒ですが
「自撮り棒」という品名をキーワード検索してもHSコードの選定は
非常に困難、もしくは不可能かと思われます。
なぜなら現時点でHSタリフに「自撮り棒」そのものに対し、
直結するHSコードが割当てられていないからです。
なので機械として扱うのか、それとも鉄、アルミ、プラスチックなど
材質を基準としてHS選定を行うのかという意見の分かれがあります。
こういった場合、品名に対してHSコードを検索するツールの
限界が見えてきます。
ちなみに私は個人的にAIプログラミングを学習しておりますが
現時点ではどれほど高度な深層学習、機械学習等をもってしても
機械による完璧なHS分類は不可能だと考えております。
裁判にもなるHS選定
実際に品名とHSコードが直結せず、通則の定義に従ってHS選定をしても
荷主と税関の意見が合わずに裁判になった事例を紹介します。
国家間の価値観の違いでHSは変わる
HSコードは頭6桁(号)は世界共通となりますが
どの6桁に選定するかというのは各国税関の価値観の違いによって
異なります。
例えば日本では「炊飯器(Electric Rice Cooker)」のHSコードを
「その他の電熱機器」8516.79 に分類しているが、日本以外の国では、
「クッカー(Cooker)」として 8516.60 に分類することが多いようです
こういった点もHSコード検索ツールでは対応できない部分です。
その他国家間の価値観の違いによりHS選定基準が変わる例です。
結論
HS検索ツールは参考にするのは良いが
最終決定をHS検索ツールに任せる事は非常に危険と考えます。
そもそも上記で紹介したクロックスの事例のような複雑なものですと
検索ツール自体が機能しないと思います。
特恵関税適用を目的としたHSコード選定は責任重大です。
安易な考えで誤った判断を下すと想定外の関税の発生
検認、事後調査で誤りを指摘され追徴課税の発生など
様々な問題を引き起こす事になります。
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