TPPの発行によりアメリカ以外からの輸入に注目が集まっており、
特にカナダ産牛肉輸入については以下のように多くの利点があるようです。
1.アメリカ産よりカナダ産の方が安く仕入れられる。
2.TPPの発行によりアメリカ産との関税率差が大きく関税削減ができる。
3.カナダも穀物飼育が中心の為、味もアメリカ産とほぼ変わらない。
ワールドビジネスサテライトより。
財務省貿易統計よりカナダ産牛肉の輸入貿易統計を確認したところ
「冷凍バラ牛肉」の輸入数量がTPP発動前の昨年と比べて大きく変動して
おりましたので、当記事では「冷凍バラ牛肉」のみの貿易統計を紹介します。
カナダ産冷凍バラ牛肉2019年1月輸入貿易統計
現時点での輸入元のメインはアメリカ産となっており、
オーストラリア産は米中貿易戦争の影響を受けて価格が上昇しており
1kg当たりの価格が約490円と高額です。
カナダ産牛肉に関しては1kg当たりの価格が約350円となっており、
アメリカ産の1kg当たりの価格が約400円である事と比較すると報道の通り
カナダ産牛肉は割安感があります。
カナダ産冷凍バラ牛肉2018年1月輸入貿易統計
TPP発動前の2018年1月の冷凍バラ牛肉の輸入貿易統計と比較すると
カナダ産の輸入量は7倍以上に増えており、
ニュージーランド産も4倍近くに増えております。
TPP発動後の冷凍牛肉関税率
アメリカ含むTPP非加盟国からの冷凍牛肉の関税率は38.5%となり、
当記事執筆時点現在でのTPP加盟国の冷凍牛肉の関税率は26.9%です。
今後は以下のように関税率が下がっていき、最終的には9%になります。
2019/4/1~26.6%
2020/4/1~25.8%
2021/4/1~25%
2022/4/1~24.1%
2023/4/1~23.3%
2024/4/1~22.5%
2025/4/1~21.6%
2026/4/1~20.8%
2027/4/1~20%
2028/4/1~18.1%
2029/4/1~16.3%
2030/4/1~14.5%
2031/4/1~12.6%
2032/4/1~10.8%
2033/4/1~9%
個別品目の貿易統計から未来を予測
先にも述べましたがカナダ産牛肉はアメリカ産より安く、味も良く、関税率も低い
となると今後牛肉を扱う企業にとっては注目すべき対象になるかと重います。
牛肉の輸入貿易統計につきましては「冷凍バラ肉」以外でも
冷蔵の物、枝肉、骨付き肉、ロイン、「かた、うで、もも」など
様々な部位別に輸入貿易統計を取得する事ができますので
詳細な品目を指定して時系列分析を行えば輸入量、価格の変動を基に
将来的戦略の指針になると考えます。(※貿易統計を活用して関税削減を参照)
他の品目について統計分析グラフが必要であればお気軽にご連絡ください。
AI、その他技術で関税削減
関税削減ツールの一つとして
AI(人工知能)の使用を検討しております。
今のところ考えているのは
1.世界中の貿易統計データ(通関統計)を使用して
原産地規則を満たす一次、二次製品を安く継続的に調達できる国を
「ネットワーク分析」という手法で特定する方法。
2.スパゲッティボウル現象と呼ばれる
世界中の自由貿易協定の複雑な条約、原産地規則をスムーズに
理解し、最大限に利用するための「自然言語処理」
3.化学品などの難解なHS品目分類を行う「機械学習」
4.貿易取引、電子決済、通関等手続き、原産地証明、原産地証明書等の
ブロックチェーン化によるスムーズな国際取引に関する技術
という路線で考えております。
時間はかかるかもしれませんが日欧EPA、TPPなどを含め
世界中に広がる自由貿易協定ネットワークを最大限活用する
関税削減の為のAIツールを提供する事を目標としています。
私は現在AI(人工知能)をAidemy様の講座で学習中です。
こちらはプログラミング入門からディープラーニングまで
無料で学習できます。
いずれ貿易実務にもAIが必要不可欠な時代が来ると思いますので
興味のある方にはお勧めです。
■私が学習した内容について
現時点で私が学習している内容は
タイタニックの乗客のデータセットを使用した教師有り学習です。
乗客データ(年齢、性別、部屋の等級、乗船地等)をcsvから読込み
どのような分類に属する人が生存、あるいは死亡したのかを
AIに判断させるというプログラムです。
工夫した点は以下の2点です。
1.複数の分類器のスコアをグラフに出す事
2.データクレンジングがスコアに与える影響を知る事
結果
1.今回のデータはランダムフォレストが一番有効と判断
2.Age(年齢)の値Naをfillnaで処理するよりも
行ごと削除してしまった方が
スコアが高くなる事を知る事ができました。
トランプ大統領TPP参加表明か?
2018年1月25日:トランプ大統領がついにTPP参加表明を示唆
現時点ではTPPはアメリカにとっては最悪の協定である事を主張しつつ
アメリカによって有利な条件を織り込む事でTPP参加はありうるとの事
いつものトランプ大統領とは少し違った雰囲気がありますね
トランプ大統領支持者はどのように考えるのでしょうか?
引き続きNAFTAの交渉は続けるという意思についても
言及しております。
今後どのような展開になっていくのか、
進捗あり次第報告させていただきます。
英語版「FTA/EPA学習コース」
EU向けの貨物に関わる関税削減において
重要な情報がEUから動画コースで紹介されております。
英語によるFTA/EPA学習コース
EUだけの専門用語等もありますが
基本的な内容は全国共通ですので、
EU向けでない貨物の輸出者様によっても非常に有益な学習動画です。
また、今後広がっていく自由貿易経済連携の知識を要する
通関士様にも為になる学習動画かと思いますので
是非ご覧になってください。
FTA/EPA学習コースは会話形式で行われます。
上級税関職員のMargotさん
税関職員のAnnaさん
商社マンのVincentさん
の3人がFTA/EPAについて質問、回答を行います。
■事前教示コース
EU内の税関において貨物がどのHSコードに該当するか
事前に書面で回答をもらうための手続き
■原産地規則コース
EU内にて経済連携協定国からの貨物を原産地証明書を用いて
減免税する為の原産地規則等の解説
■関税評価コース
関税評価の適用についての解説
■入港から保税制度
貨物がEU内に到着後の手続き、保税制度の解説
■税関手続き
EU内での税関手続きを解説
■EU内の税制
EU内での商取引における消費税(VAT)と免税について
国内取引、EU間取引、国際取引等一般税制の解説
(要Flashインストール)
中国が日用品等187品目の関税率削減
中国ニュースサイト新浪によると
日用品関連187品目の関税削減を行うとの事です。
平均関税率は17.3%から7.7%まで下がる予定
中国側の消費者にとって輸入品が安く手に入る事から
大きなメリットになり、日本の輸出企業にとっても大きなチャンス
が到来する事になるでしょう。
家電の約30品目
温水洗浄便座は32%から10%に関税削減
電動歯ブラシ、脱毛器も10%に関税削減
紙おむつは7.5%の関税がゼロになる
その他にも鞄、革靴、食品、薬品、化粧品、帽子、文化娯楽関係等
が対象になる予定です。
中国側によってはTPPを離脱したアメリカへの対抗、
RCEPの前進に拍車をかける意図をかんじます。
その他詳細はまだ明らかになっておりませんが
続報が出次第報告させていただきます。
日欧EPA年内合意、生乳と小麦に特例
河野外相は欧州通商政策担当のマルムストローム欧州委員と電話会談で
日欧EPAを年内の最終合意を目指す方針を示しました。
日欧EPAは7月に大枠合意をしましたが
投資分野に関しては意見がまとまらず、このままでは日欧EPAの
進展が遅れるという事で、一旦投資分野に関しては合意条件から外し
別の協定で取り扱うという事で合意しました。
これによって年内の最終合意にめどがついた模様
日本政府は日欧EPAによって打撃を受ける産業のうち
チーズ製造向けの生乳と輸入小麦に対して対策を行う予定です。
チーズに関しては世界的に人気のある欧州産チーズが関税削減によって
安く輸入され、競争にさらされる事を予想し、
酪農家に対し生産量に応じて補助金を交付する予定となっており、
日本のブランドを確立する為の助成も検討しているようです。
また、欧州産パスタの関税が撤廃される事による安価なパスタ対策に
政府が輸入小麦を製粉業者に売り渡す際に発生する上乗せ徴収費用
「輸入差益(マークアップ)」を削減し、欧州産のパスタの流通に
国内業者が対抗できるようにパスタ業者の仕入れコストを削減する
方針を検討しています。
更に日欧EPAとTPPの発行を見据え
農業分野の国内対策に3,000億円を計上する事を検討しています。