トランプ次期大統領が商務長官に指名したウィルバーロス氏は
北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉と
環太平洋経済連携協定(TPP)の見直しに意欲的だ。
NAFTAは1994年の発行から20年以上が経過しており、
大幅な改正が必要だという意見があり、
TPPに関しては当初は好印象だったが原産地規則をよく見てみると
米国側にはあまり有利では無いように思えてきたとの事です。
NAFTAにおいては2008年に関税が撤廃され、
日本企業もこれに併せてメキシコに生産拠点を構築している為
NAFTAの見直しがあれば日本の企業にも相当な影響があるかと
思われます。
NAFTAの制度があれば日本や中国から一次製品を
NAFTA加盟国であるメキシコに輸出し、
メキシコ内で原産地規則を満たす製造工程で製品が完成すれば
アメリカに輸出してもアメリカ側で関税がかからない為
最終的な小売価格も安くできるという仕組みです。
例を挙げると中国から自動車の一次製品(部品等)をメキシコに輸出し
その一次製品から自動車を製造するというサプライチェーンの場合
NAFTAの原産地規則では部品の62.5%がNAFTA域内で調達されれば
NAFTA圏内での輸出では関税がゼロになります。
この62.5%という閾値が70%,80%というように高くなればなるほど
NAFTAの特恵関税を得られる機会が少なくなっていきます。
原産地規則は非常に細かいので締結した後に各国のデメリットが発覚し
後から話が変わるという事も今後頻繁にありそうです。
メキシコからアメリカに輸出される自動車のうち32%が日系メーカーという
ことなのでこのように原産地規則が厳しくなれば多くの日系メーカーが
打撃を受ける事になるでしょう。
メキシコや中国の製品に高関税を課すという政策が実現されれば
自動車、IT製品は世界的なサプライチェーンを見直す必要が出て来る
かもしれませんね。