グローバルサプライチェーンや三国間貿易等にFTA,EPAを使用して
特恵関税率を適用する場合はどうしても英語での原産地規則を
読まなければいけないケースがあります。
英語での原産地規則を読むには
HSコードと原産地規則と英語力の3つが知識が必要になりますが
それでもまだまだ難しいです。
先日NAFTAの原産地規則の一部を紹介しましたが
私も解読するのに時間がかかりました。
その悩んだ英文のNAFTA原産地規則を紹介します。
HSコード8516.32(調髪用機器のその他)の品目に対する原産地規則です。
A change to subheading 8516.32 from subheading 8516.80 or
any other heading; orA change to subheading 8516.32 from subheading 8516.90,
whether or not there is also a change from subheading 8516.80 or
any other heading,
provided there is a regional value content of not less than:(a) 60 percent where the transaction value method is used, or
(b) 50 percent where the net cost method is used.
これは8516.32(調髪用機器のその他)を輸入する際に
製造国にてNAFTA締約国以外の国から部品を調達した場合
どのような製造工程を経れば特恵関税率適用になるかという事を
表しております。
ちょっとわかりずらいのですが、この原産地規則を2つに分割すると
要件の詳細が見えてきます。
A change to subheading 8516.32 from subheading 8516.80 or
any other heading; or
という部分を抜き出してみましょう
8516.32(調髪用機器のその他)を製造する際は
〇8516.80(電熱用抵抗体)をNAFTA締約国以外からの部品として使用する
又は
〇他の項(HSCODE4桁の変更)の材料がNAFTA締約国以外から
調達されて製造された場合
であれば原産地規則を満たすものとして認められます。
原産地規則の前半の2行の内容ははこれだけで完結しますので
これを満たしていれば後半は見る必要がありません。
もしNAFTA締約国以外から調達した部品が8516.80(電熱用抵抗体)以外で
項の変更もないのであればその下の規則を検討する事になります。
A change to subheading 8516.32 from subheading 8516.90,
これは8516.32(調髪用機器のその他)を製造する際、
8516.90(電熱式の調髪用機器及びドライヤーの部品、以下部品とします)
から製造する場合に適用する原産地規則です。
whether or not there is also a change from subheading 8516.80 or
any other heading,
ここがちょっとわかりづらい部分です。
8516.90(部品)をNAFTA締約国以外から調達して、
NAFTA締約国にて8516.80(電熱用抵抗体)に変わる製造工程が
あったとしても原産地規則の前半部分には該当せず、
以下の付加価値基準も同時に満たさなくてはいけません。
という内容です。
provided there is a regional value content of not less than:
(a) 60 percent where the transaction value method is used, or
(b) 50 percent where the net cost method is used.
一般的トランザクション値方式の付加価値基準であれば60%以上
ネットコスト値方式であれば50%以上の付加価値を要する
という事になります。
このような原産地規則はNAFTAに多く見られますので
一度内容を理解すれば他の原産地規則もすぐに読めるかと思います。