CCとは Change in Chapterの略です。
前回解説した関税分類変更基準(CTC)の一つで
非特恵受益国の原料のHSコードと
特恵受益国の完成品のHSコードの頭2桁が変更する加工が
行われれば特恵受益国の生産品として
特恵関税の対象貨物として扱われます。
上記の例では日本が締約国からかばんを輸入するケースです。
締約国で完成する「かばん」のHSコードは4203であり
A国から調達する「なめし皮」のHSコードは4111となります。
A国から調達した原料は締約国で製品になりHSコードが変化します。
4111から4203への変化はHSの頭2桁が変更となっております。
これによりCCが満たされた貨物という事になりますので
第三国の原料が使われていたとしても
全て締約国で作られたものとみなされ、
特恵関税適用対象の貨物となります。
今回のようなHSコードの類(CHAPTER)の変更が必要という事は
指定された加工の条件が一番厳しいという事になります。
例:豚肉の場合
TPP11においてベトナム側での輸入時に豚肉調整品(HS:1602.42)の関税削減が
可能かどうかを検討してみます。
TPP11の原産地規則を確認すると「第1602.41号から第1602.50号までの
各号の産品への他の類の材料からの変更(第二類の材料からの変更を
除く。)」とある事から非原産材料を使用した場合はCC(HS2桁変更)
ルールを満たす必要があります。
この場合、ペッパー(HS:0904.11)を非締約国から調達して日本にて当該
ペッパーを使用して日本産豚肉(HS0203)を加工した場合に輸出先である
ベトナム側で豚肉調整品(HS:1602.42)の関税削減が可能かどうかが問題
になります。
TPP11における豚肉調整品の品目原産地規則はCC(類の変更)となっ
ている為、非原産材料と完成品である豚肉のHSコードの頭2桁が異な
ればよいという事になる為、それぞれのHSコードを比較してみます。
豚肉調整品 :1602.42
ペッパー:0904.11
上記2点を比較するとHSコードを2桁で区切った場合に16と09が異なっ
ているのがわかります。これによって締約国内にて十分な加工が行われ
たとみなされ、非締約国から調達したペッパーを使用して豚肉調整品を
日本にて製造した場合はTPP11の品目別原産地規則を満たし、ベトナム
側で関税削減の対象となり得ます。
※品目別原産地規則に(第二類の材料からの変更を除く。)とありますが
材料である豚肉(HS0203)は日本産である事から考慮する必要はありません。