ASEAN+1という形の複数の国で統一ルールを定めるFTAがあります。
例えば
ASEAN + JAPAN
ASEAN + CHINA
ASEAN + KOREA
ASEAN + INDIA
ASEAN + AUSTRALIA ,NEWZEALAND
などです。
これらを一見見ただけではどこからどこまでがFTAの適用範囲なのかが
分かりづらいです。
例えばASEAN + JAPANで考えてみると
このFTAで適用できる関税率はASEAN と 日本だけという誤解を
生じるかもしれません。
日本からASEAN全てに輸出する場合と
ASEAN全てから日本に輸出する場合にのみ適用する税率だと
思ってしまいませんか?
実はこれは名称はASEAN + JAPANという事ですが
日本を抜いた貿易、例えばベトナムからタイという関係でも
使用する事が可能です。
ASEANから見れば複数のASEAN + 1がありますので
それぞれに関税率が異なれば一番関税率の低い
ASEAN + 1のFTAを選択すればASEANからASEANに輸出する場合に
原産地証明書の種類を選択するだけで税率の異なるFTAを使用し
一番関税率の低いFTAを選択すれば労せず関税削減が可能です。
もちろん異なるFTAを使用すれば原産地規則もそれなりに変わる
可能性がありますのでこれを踏まえた上で利用すれば
関税削減の恩恵を受ける事ができます。
この方法を使えば関税削減への抜け道のような使い方も可能です。
例えばASEAN域内での包括FTAはAFTAですが
こちらのルールでは思うように関税削減ができない場合
あえてASEAN+1の原産地証明書を使用する事により
+1の対象となっている国が全く干渉しない貿易であっても
適用対象となる事からASEAN間での貿易であっても
ASEAN+1のFTAを使用するケースもございます。
FTAは世界的にみてスパゲッティボウル現象と呼ばれる位
複雑ですので、協定文を吟味する事によって
このような関税率の抜け道を探る事が可能です。
実際にどのようにこのような抜け道を使うのか
こちらのページにて事例を紹介します。