付加価値基準総論5の続きです。
今回はロールアップについて解説します。
特恵受益国で生産された貨物であって、
その1次材料も同じく特恵受益国で生産されており、
その原料の2次材料が第三国から仕入れたものであっても
実質的変更基準を満たして1次材料になっていれば
特恵受益国の生産品として認められると前回の記事で説明しました。
以下の例を見ると赤い点線で囲まれた2次材料が価格80であり、
矢印の先の特恵受益国に移動し、
特恵受益国の原産材料100と生産コスト20と組み合わせ
青い点線内の価格200の「1次材料」が完成します。
1次材料の価格200に対し非原産材料の2次材料は80となり
QVC(原産資格割合)は60%となりますので、
この1次材料はロールアップの規定を使用し、
2次材料の80をも特恵受益国の原産品として認めるという事になります。
特恵受益国での原産品の製造の際に考えなければならないのは、
1次材料がその特恵受益国の原産であっても2次材料が
第三国の材料を使用しているのであればそちらも考慮して
計算しなければならないという事です。
2次材料の出どころを突き止めるというのはかなり難しいかもしれませんが
このような考え方があるという事をご理解頂ければと思います。