12/22(木)の日本経済新聞によると
日本政府はインドに対し鉄鋼製品のセーフガードの撤回を
求める方針との事です。
セーフガードとは特定の輸入貨物が国内産業に被害が出るほど
大量に輸入される場合に発動する物で
政府が関税の引き上げや輸入数量を制限する制度です。
今回問題になっているのは
インドが中国からの鉄鋼製品の過剰供給に対し行った対抗措置ですが、
このセーフガードというのは全世界が対象となる所が厄介です。
インドは中国に対抗するつもりでも同時に日本を含め、
他の国からの輸入品も制限してしまいます。
日本の企業がインド向けに輸出ができず不満を持つのも当然ですね。
過去にも韓国、ウクライナ、中国、アメリカに対しこういった保護措置の
撤回要求を行った経緯もあるそうです。
気になるのはこういったケースで原産地証明書を使用した関税の減免税は
どうなるのかという事ですが、残念ながらFTA/EPAの締約国であっても
セーフガードの効果はこれを上回ります。
税関HPにある経済連携協定におけるEPAセーフガードについて
のページにある以下の図をご覧ください。
矢印の前はセーフガード発動前のFTA/EPA(経済連携協定)締約国です。
この場合は原産地証明書を提出すれば関税が無税になるケースです。
しかし、矢印の右側に行くと無税の効果が無効になっているのがわかります。
右側上段一般セーフガードと右側下段のEPAセーフガードでは
EPAセーフガードの方が少しマシな程度ですが無税とは行かないようです。
FTA/EPAはどんどん複雑化して行きますので
こういった問題にも柔軟に対応できるようになると嬉しいですね。
今後の政府の動きに期待です。