化学品の関税を削減する方法を考えてみます。
今回はオーストラリアで製造されたグリセリンを日本に輸入する
ケースで、その原料にA国から調達したプロピレンを使用した物が
日本で特恵関税の適用対象になるかどうかを検討します。
以下のスライドをご覧ください。
グリセリンのHSコードは2905.45となっておりますので
日豪EPAの原産地規則を確認します。
関税分類変更基準のところで”CTSH”とあります。
これはHSコードの頭6桁(号)の変更があれば
原産地規則を満たすという物です。
プロピレンのHSコードは純度にもよりますが
一番近いものでも2901.22ですので、
この時点で原産地規則は満たされておりますが、
化学品につきましては特別に加工工程準の指定もあります。
CTSHの下にCRと記載があります。
これは化学品特有の加工工程基準というものです。
CRとはEPA締約国(今回の例ではオーストラリア)にて
化学反応を起こして加工したものという基準です。
プロピレンからグリセリンに変わったという事は
その間に化学反応があったといえます。
つまり今回の例では関税分類変更基準も
加工工程基準も満たしているという事になります。
また、この場合は関税分類変更基準と加工工程基準
どちらか一方を満たしていれば十分ですので
両方の条件を満たさなくてはならないというものではありません。