特定の国からの輸入貨物をその国の発行する原産地証明書を使用して
特恵関税の適用が受けられるかを検討する際、
必ずその国以外の原料を使用して製造された貨物かどうかを
確認する必要があります。
もしその国以外の国の原産材料を使用しているのであれば
実質的変更基準を満たしてその原産地証明書を発行した国の
原産であるという事を証明する必要があります。
その実質的変更基準を満たすかどうかという点で考慮するのが
一般ルールか品目別分類規則という事になります。
※実質的変更基準についての記事
一般ルールとは一般特恵関税を使用する貨物全体に対して
包括的に適用するルールであり、
品目別分類規則とは各貨物のHSごとに定められる実質的変更基準です。
どちらのルールが上かというと品目別分類規則が上と考えてください。
輸入したい貨物が第三国の原料を使用している場合
一般ルールはクリアしていても
その貨物に対し個別のHSコードに品目別分類規則がある場合、
品目別分類規則が満たされていないとその国の原産とは認められません。
ですので実質的変更基準を満たすかどうかを検討する際は
まず該当貨物のHSコードに対し品目別分類規則があるかどうかを確認して
品目別分類規則が無ければ一般ルールを検討するという形をとります。
以下の図をご覧ください。
これは一般特恵関税(GSP)と特別特恵関税(FTA/EPA)の一般ルールです。
※税関発行のセミナー資料14P
「品目別規則に規定のない産品は一般ルールを適用する」とあります
一般ルールより品目別分類規則の方が上という事です。
輸入する貨物のHSコードに対し品目別分類規則が無ければ
上記のルールが適用されます。
一般特恵関税の一般ルールは他の項の材料からの変更という事で
とてもシンプルです。
しかし特別特恵関税に関しては少しハードルが下がる物もあります。
アセアン全域EPA、スイスEPA、ベトナムEPA、に関しては
他の項からの変更を満たせなくても付加価値基準40%以上あれば
実質的変更基準を満たす事になります。
インドEPAの場合は少し緩い基準になります。
他の項からの変更ではなく号の変更が一般ルールの基準となります。
HS4桁の変更でなくても6桁の変更であれば良いので
この点は幅広い第三国貨物も対象に入るという事になり,
付加価値基準は35%だけインドで加算されればよいという事になります。
その他のEPAに関しては一般ルールは存在しないため、
全ての貨物に対し品目別分類規則を検討する必要があります。