VAとは付加価値基準”Value Added “の略です。
特恵受益国で生産された貨物であっても
その原料が別の第三国から輸入されたものである場合
実質的変更基準を満たす必要があります。
実質的変更基準が付加価値基準(VA)を満たす必要がある場合に
以下のような計算をする必要があります。
前回解説したQVC(原産資格割合)とごっちゃになりそうですが
VAとは付加価値基準というルールの一つで
QVCとはそのルールの規定で算出された原産資格割合
という事になります。
世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
VAとは付加価値基準”Value Added “の略です。
特恵受益国で生産された貨物であっても
その原料が別の第三国から輸入されたものである場合
実質的変更基準を満たす必要があります。
実質的変更基準が付加価値基準(VA)を満たす必要がある場合に
以下のような計算をする必要があります。
前回解説したQVC(原産資格割合)とごっちゃになりそうですが
VAとは付加価値基準というルールの一つで
QVCとはそのルールの規定で算出された原産資格割合
という事になります。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
QVCとは原産資格割合”Qualifying Value Content”の略 です。
特恵受益国で生産された貨物であっても
その原料が別の第三国から輸入されたものである場合
実質的変更基準を満たす必要があります。
その実質的変更基準が付加価値基準を満たす事を条件としている場合
第三国の原料が特恵受益国でどれほどの付加価値を得たかが
特恵適用の基準となるのでこの原産資格割合を算出する必要があります。
QVC(原産資格割合)は以下のように算出します。
ちょっとややこしいですがざっくり言えばQVC(原産資格割合)とは
最終製品の価格からVNM(非原産材料)を引いた残りの部分です。
これをパーセンテージで表すだけですので
そんなに難しい内容ではありません。
また、このQVCは各FTA/EPAによっては
RVCやLVCと呼ばれる事がありますが意味は同じです。
品目別分類規則では以下のようにこの単語が出てきます。
この単語を覚えておくと品目別分類規則を読むのが楽になりますので
覚えておいてください。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
VNMとは非原産材料の事を表す
Value of Non-originationg Materialsの略です
(EUではNOMと呼びます。)
FOB価格からこのVNM(非原産材料)を引いたものを
RVC(Regional Value Content)やQVC(Qualifying Value Content)
と呼ぶ事もあります。(協定によって異なる)
非常にややこしいのですがこれら同じ意味で
それぞれ異なるFTA/EPAによって呼び方が変わりますのでご注意ください。
計算式は以下のようになります。
※税関セミナースライドより引用
実質的変更基準に付加価値基準を用いて特恵受益国の原産品として
認めてもらうケースの例に以下のようなものがあります。
※税関セミナースライドより引用
上記の例では特恵受益国タイで製造された果汁飲料HSコード2202.90
の原料が第三国のマレーシアの原料を使って製造されていた場合
タイの原産品として認めてもらうには
HS2202.90の品目別分類規則を確認します。(上記スライドの左側)
こちらに「原産地資格割合が40%以上であること」に該当しますので
原料の価格と完成品の価格を計算するとVNM(非原産材料)は20%となり
原産資格割合は80%になりますので規則を満たすという事になります。
名称は複数あっても考え方は同じですので
惑わされないようご注意ください。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
特恵受益国で生産された貨物であっても
第三国の原料を使って生産されていた場合は
実質的変更基準を満たす必要があります。
今回は実質的変更基準の一つ品目別分類規則の読み方を紹介します。
まずはHSコードの仕組みのおさらいです。
HSコードは9桁(通関上10桁)までありますが
基本的にFTA/EPAで使うのはそのうちの2桁、4桁、6桁になります。
上記の図のように
2桁は類
4桁は項
6桁は号
と呼ばれます。
これは重要ですので覚えてください。
そしてHSコードが確定したら品目別分類規則を見ます。
以下の例は日アセアンEPAでのHSコード8543.81の場合です。
HSコード8543.81の貨物がアセアン各国から日本に輸入された場合で
貨物の原料がアセアン以外から来ている場合
RVC(原産資格割合)40%以上
か
CTH(HS頭4桁(項))の変更であり
かつ8542以外のものからである事
のどちらか一つを満たせばアセアンの原産品として認められます。
この品目別分類規則の一覧ですが
最近は税関HPで非常に見やすくなっております。
税関HPの原産地規則ポータルに入って品目別分類規則の欄を見ると
各国の品目別分類規則の協定文を確認できたり
HSコードを入力すれば検索もできてしまいます。
ちなみに上記で紹介した8543.81を日アセアンで検索すると
このように検索結果に品目別分類規則が表示されるので非常に便利です。
他にも多数機能がありますので是非ご利用ください。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
前回の記事で(株)花王さんの記事が日本経済新聞に掲載されていた件を
紹介しました。
インドネシアにて洗剤などの原料(脂肪酸)を生産する工場を新設して
タイ、インドネシア、ベトナムにその原料を輸出し、
これらの国で完成品にになるというパターンです。
そして花王さんのHPにAFTAについての記載があったので
この新設工場はAFTAの特恵関税の恩恵を受けるのではないかと
勝手に推測しました。
花王さんから直接聞いた訳ではありませんが
更に私の勝手な推測でどのようなFTAを利用して
特恵関税の恩恵を得られるのか考えてみたいと思います。
まずインドネシアで原料の脂肪酸を生産して、
タイ、インドネシア、ベトナムに原料を輸出し、最終製品として完成。
これを東南アジア各国に輸出するとなると
最終製品が東南アジア諸国に輸入される際の関税を安くする事が
目的ですのでAFTA協定文を参考にします。
WTOのページにいってGOODSのラジオボタンを押して
世界地図から最終生産品の輸入国を選択します(東南アジアのどれか)
次に原産材料の輸出国(インドネシア)を選択します。
上記の例では輸入国をベトナム、
原産材料の生産国をインドネシアで検索した所です。
赤枠の中にAFTAがありますのでベトナムとインドネシア間でのFTAに
このAFTAが適用できるという事がわかります。
更にこの赤枠内のRTA ID CARDをクリックすると
次のページの右下にText of the agreementという文字があり
その横にEというリンクがありますのでこちらをクリックすると
AFTAの協定文全文が読めます。
こちらがAFTA協定文です。
日本経済新聞によると花王さんは洗剤を東南アジア諸国に輸出するので
洗剤のHSコードを3402とします(成分によって異なりますので仮定)
HS3402のAFTA品目別分類規則を先に見てみます。(134~135P)
するとHS3402に対する品目別分類規則はないという事がわかりました。
ということはAFTAの一般ルールが適用される事になります
これを探すのが骨の折れる作業です。
協定文の中の
RULES OF ORIGIN FOR THE AGREEMENT
ON THE COMMON EFFECTIVE PREFERENTIAL TARIFF SCHEME
FOR THE ASEAN FREE TRADE AREA (CEPT-AFTA ROO)
の3Pにやっと一般ルールを発見しました
前回の記事一般ルール協定文の英語で紹介したのと同じようなタイトル
RULES OF ORIGINのくくりの中の
Article 4: Not Wholly Obtained or Producedという項目に
AFTAの一般ルールの記載がありました。
(a) if at least 40 percent of its content (hereinafter referred to as
“ASEAN Value Content” or the “Regional Value Content (RVC)”)
originates from that Member State or it has undergone
a change in tariff classification at four-digit level
(change in tariff heading) of the Harmonised System;
(付加価値基準40%超えか関税分類変更基準で項の変更
が一般ルールになると定めています。)
(b) if it is specified in Appendix C and satisfies the criteria set out therein.
(もし品目別分類規則に指定があればそれに従う(一般ルールは無視))
新聞記事からはインドネシアで生産された脂肪酸のCIF価格は不明ですが
脂肪酸のHSコードは3823であると予想した場合
洗剤のHS3402と脂肪酸のHS3823では項(HS頭4桁)に変更がありますので
一般ルールをクリアして、実質的変更基準を満たすという事になりますので
インドネシアで生産された脂肪酸をAFTA管轄の国で完成品にして
AFTA管轄の東南アジア諸国に輸出した場合特権関税の適用が
受けられる可能性が高いという事になります。
以上私の勝手な推測で書いたAFTA活用例となります。
※注意
(株)花王さんから取材、インタビューをしたわけではありません。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
以前一般特恵関税制度やFTA/EPAの実質的変更基準には
一般ルールが存在する国があると紹介しました。
特恵税率を使用する際、貨物の原料に非特恵受益国の物がある場合、
原産地規則、実質的変更基準、品目別分類規則を確認しますが
その際に品目別分類規則があれば
それに従った製造工程を行えば良いのですが
以下の国では品目別分類規則の規定が無いものがあります。
その場合は
原則各国との協定文に定める一般ルールを調べる必要があります。
以下の画像はその一般ルールの一覧です。
■一般ルール根拠条文一覧
このような表にしていただけると非常にわかりやすいのですが
やはり協定文による根拠を見たいという方もいらっしゃると思いますので
以下に一般ルールの協定文を紹介します。
協定本文の内容を調べるには
外務省のHP(経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA))を見ます。
上記のようにFTA/EPAの協定文へのリンクがあります。
今回は日ACEANの協定文の一般ルールを調べようと思います。
日ASEAN.EPAをクリックし、
次の画面で「日・ASEAN包括的経済連携協定」の日本語を選択し
「和文テキスト」をクリックすると協定本文を見る事ができます。
この協定文の三章26条を見ると以下のようになります。
第二十四条 (b)の規定の適用上、
次に掲げる産品は、締約国の原産品とする。
ここからが一般ルールの規定です。
次条に定める計算式を用いて算定する当該産品の域内原産割合
(以下「RVC」という。)が四十 パーセント以上の産品であって、
生産の最終工程が当該締約国において行われたもの
これは付加価値基準の事です。
当該産品の生産に使用されたすべての非原産材料について、
当該締約国において統一システムの関税 分類の変更
(以下「CTC」という。)であって四桁番号の水準におけるもの
(すなわち、項の変更) けた が行われた産品
これは関税分類変更基準の事です。
このような規定が協定文にあるため、この記事上部にあるスライドの表の
日ACEANの一般ルールは「他の項からの変更あるいは付加価値40%以上」
となるのです。
但し、一般ルールができようできない品目もありますので、そのような場合には
各品目ごとに品目別規則を満たす必要があります。
1の規定にかかわらず、品目別規則の対象となる産品は、
附属書二に定める適用可能な品目別規則を満たす場合には、
原産品とする。
ここで品目別分類規則がある貨物の場合は一般ルールの適用ではなく
品目別分類規則を満たすことの方が優先となるという事になります。
私も実務上品目別分類規則を探す事が多々ありますが
上記スライドに挙げた国ですと特定のHSコードに品目別分類規則が
無い時があると一般ルールを調べるのに困る事があります。
いっその事全て品目別分類規則で定義してくれた方が気楽です。(笑)
このようなFTA/EPAの一般ルールは
日本と締結しているFTA/EPAであれば調べるのは検索すれば済むのですが
これが海外と海外(三国間貿易)で行う場合は当然英語になりますので
協定文を読み解くハードルが一気に上がります。
これからの時代は三国間貿易も主流になっていくと思いますので
英語の協定文の紹介も次回行いたいと思います。