環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する11か国の交渉官会合が終わり、
アメリカ抜きの大筋合意に向かって進展があったようです。
アメリカにとって強みのあるバイオ医薬品を独占販売できる
データ保護期間やその他いくつかのアメリカ優勢なルールに関しても
凍結という事で各国の意見が一致しているようです。
今後のアメリカ参加への期待は失われていないと思われますので
アメリカに動きがあればこの「凍結」は解除に至る可能性が
高いと思われます。
更にTPPの発行条件を緩和する方向で話が進んでおり、
「各国のGDPの合計の85%以上を占める6カ国が国内手続きを終える」
という条件は事実上廃止となります。
ニュージーランドの新政権はTPPに対して慎重な姿勢でしたが
現在はTPP参加への意欲を示しているようで、
現時点で最大の難点はほぼ解決に向かっているようです。
しかし、引き続きベトナムから繊維製品に対する
原産地規則の緩和要求の問題はまだ依然として残っております。
ベトナムとしては主力の繊維製品輸出拡大の為、
輸出先での関税削減を求めているようですが
協定参加国の多くはこの主張には反対しているようです。
TPPにおける繊維製品の原産地規則は厳しく、
以下の3つがその大部分を占めます。
■締約国内にて調達した繊維原料からの製造が求められる
「ファイバーフォワード」
■紡ぐ、織る、縫製、という3つの工程を
原則TPP締約国内において行う事が求められる
3工程ルール:「ヤーンフォワード」
■生地にする工程からTPP締約国内での工程が求められる
2工程ルール:「ファブリックフォワード」
簡単に言えば糸、生地をTPP加盟国以外の国から調達ができない
品目が多いという事です。
ベトナムは糸・生地生産基盤が弱い為、
このような原産地規則があると輸出先での関税削減が思うように
いかない事が原因です。
「TPP協定文」へのリンク 繊維製品に対する原産地規則は4章をご覧下さい。