原産地規則を読み解く上で困難なカテゴリの一つに繊維製品があります。
多くの原産材料を使用する上、原産地規則(品目別分類規則)が
非常に難しいので今回実例を挙げてみます。
この繊維製品(HSコード6110)は多くの原料からできています。
日本から材料を提供している表生地、ラベル
ベトナム産の裏生地と中国産の糸とボタンで
最終的にカンボジアで完成し、カンボジアの原産地証明書を使用します。
上記のような複雑な製造工程パターンでもカンボジア産として
認められるかどうかはまず品目別分類規則を確認します。
するとHSコード6110の規定は「紡織用繊維 糸から 製造」となりますので
この品目別分類規則からいうと上記の材料は中国産の糸しか
該当しないようにも見えます。
しかし、実際は違います。
日本産の表生地とラベルは自国関与という制度があるので
そのままカンボジア原産として認められます。
ベトナム製の裏生地に関しては完成品の10%以下しか使われておらず
僅少の非原産材料を使用しているという事で
これは実質的変更基準を満たしている事になります。
最後が難題です。
中国産のボタンですが、こちらに関しては品目別分類規則の表の少し下に
備考欄がありまして、ここに救済規定があります。
五 関税定率法別表第六一類から第六三類までに
該当する物品が原産品であるか否かを決定するに当たり、
物品の生産に使用された原料又は材料であつて
同表第五〇類から第六三類までに該当しないものについては、
繊維を含むか否かを問わず、考慮しない。
要約するとこれはHSコード61から63で頭2桁が始まる貨物に関して
品目別分類規則を満たすかどうかについて検討する非原産材料は
HSコード50から63で頭2桁が始まる物だけを考慮し、
それ以外は品目別分類規則を満たすと考えてよい事になります。
ボタンのHSコードは9606なので上記の備考欄の規定に該当し、
これもカンボジア原産となります。
これらによってめでたくこの繊維製品はカンボジア原産となり
カンボジアの原産地証明書を使用して減免税の適用が可能となります。
原産地規則の確認ではこのように複数の原産品に対し
一つ一つ原産性を確認する作業がありますので
非常に大変なパターンもありますので慣れておきたいところです。
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