北米自由貿易協定(NAFTA)はアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国での
自由貿易協定であり、各国内にて原産地規則を満たして製造された品目に対しては
この3カ国内での輸出であれば、関税を撤廃、減税する協定です。
トランプ大統領は次回の中間選挙で有権者にアピールする為にも
NAFTAの関税撤廃、減税のルール(原産地規則)を厳しくする方針で
特に自動車の関税撤廃の条件となる原産地規則を見直す体制にあります。
現時点でのNAFTAによる自動車の関税撤廃条件となる原産地規則は
アメリカ、カナダ、メキシコで完成した自動車であり、かつその全部品の
62.5%以上をこの3カ国内で調達していれば
NAFTA締約国内での輸出においては関税をゼロにできるというものです。
(※付加価値基準,VAベース)
例えばメキシコで自動車を製造する場合、NAFTA以外の国から
自動車部品を調達するのであれば、完成品の金額の内、37.5%までであれば
日本や中国からの調達であってもNAFTA域内ではメキシコ産として
扱われる為、メキシコからアメリカやカナダに輸出する際は
その自動車に対しての関税はかかりません。
もちろんNAFTA以外の国から調達した部品の金額が完成品の金額の
37.5%を超えてしまえばメキシコ産としては認められず、
通常の関税が課せられてしまいます。
なのでメキシコで自動車を製造する場合は第三国からの部品調達は
37.5%に落としこむ形で製造を行う形になります。
今まではこのような形でNAFTA域内での自動車の輸出入が盛んに
行われておりましたが、トランプ政権が掲げる目標の一つである
NAFTAの見直しになるとこの原産地規則がより厳しくなり、
現行の域内調達率62.5%が75%に引き上げられる可能性があります。
この件に関してはいくつかの現地メディアはメキシコ側はこれを合意
したとの報道もあります。
これは先ほどの例でいうと
メキシコで自動車を製造する際に日本や中国から自動車部品を調達する
場合、今までは完成品の金額の内、37.5%までであればメキシコ産として
認められていたものが25%までしか調達できなくなるという事です。
これはNAFTA締約国だけの問題ではなく、NAFTA締約国に対して
部品を提供している国全体に多大なる影響を及ぼすことになります。
大きな影響を受ける日本の自動車メーカーの例では
トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダがあります。
それぞれメキシコに製造拠点を持ち、4社で合計約134万台の車を製造し、
大半をアメリカ向けに輸出しております。
自動車製造の際に日本から調達した部品も多く使われている為、
自動車の原産地規則の域内調達率が75%に変わってしまうと
サプライチェーンの流れを大幅に調整しなければならない可能性があります。
日本や中国からの自動車部品調達率を25%以内に抑えるというのは
今までの流れからしたら困難な事かと思われますが
このようなルール変更が起きてしまえば対策を練らないと
メキシコで製造した自動車をアメリカに輸出する際にフル関税がかかってしまいます。
多くの関連企業がこの流れに影響を受ける事になると思われます
進展あり次第報告させていただきます。
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