(1) 無税品と有税品
関税率表は、輸入されるすべての商品を分類して税率を定め、
その中の一部は無税となっています(freeと呼ばれる)
関税が無税になる品目は、全体の約35%となっており
鉄鉱石、羊毛、綿花、写真用フィルム、ゴムタイヤ、機械類などがあります。
(2) 税率の形態
関税は、輸入貨物の価格または数量に対して関税額を計算します、
これを課税標準と呼びます。
価格を課税標準とするものを「従価税」
数量を課税標準とするものを「従量税」と呼びます
更に従価税と従量税を組み合わせた「混合税」というのもあります
①混合税選択型
従価税と従量税の両方を定め、そのうちいずれか税額の高い方を課すもの
例えば革靴などは以下のような方法で税額を確定します。
価格の60%又は4,800円/足のうちいずれか高い税率を適用する
300万円の靴なら60%にあたる180万円の関税が4,800円より高いので
自動的に一足当たり180万円の税率が課される。
3千円の靴ならば60%の税率よりも4,800円の方が高いので
自動的に一足あたり4,800円の税率が課される
輸入者がどちらの税率が良いか選択する事はできません。
NACCSというソフトが自動で計算して税率を算出します。
毛織物、卵黄、魚油、鉛合金の塊などについて適用されています。
②混合税複合型
複合税は、従価税と従量税を同時にかけるもので、
従量税は輸入品の価格が高くなるにつれて税率が低くなるため、
これに一定の従価税をプラスして国内産業を特に保護しようとするものです。
現在、一部の乳製品について適用されています。
(3) 特殊な形態の関税
イ.差額関税
輸入品の価格が低い場合には、輸入品の価格と一定水準の価格との差額を
関税として課す一方、輸入品の価格が高い場合には、
無税又は低税率を適用することにより、
国内生産者と国内需要者のバランスを図るものです。
ロ.スライド関税
現在、たまねぎ、銅の塊、鉛の塊など
国際市況の変動の激しい物品については、輸入品の価格が低下すれば
適当な関税を課す一方、輸入品の価格が上昇すれば無税とすることにより、
国内生産者と国内需要者のバランスを図る仕組がとられています。
この関税は無税となる付近で、輸入品の価格が高くなるにつれて
関税額が減少していくような部分(スライド部分)を有するので、
一般にスライド関税と呼ばれています。
ハ.季節関税
季節関税とは、輸入される時期によって適用する税率を異にする関税です。
季節関税の目的は、国産品の出回り期が、季節的に偏っている場合、
その期間にこれと競合する輸入品に対し高い関税を課すことにより
国産品の保護を図り、その他の季節には低い関税を課すことにより
消費者の要望に応えることにあります。
現在、バナナ、オレンジなどについて適用されています。
ニ.関税割当制度
関税割当制度は、一定の数量以内の輸入品に限り、
無税又は低税率(一次税率)の関税を適用して、需要者に安価な輸入品の
提供を確保する一方、この一定数量を超える輸入分については
比較的高税率(二次税率)の関税を適用することによって、
国内生産者の保護を図る制度です。
平成25年度現在、ナチュラルチーズ、革、革靴、雑豆、こんにゃく芋など
20品目について関税割当制度が適用されており、
毎年度ごとに政令で数量が定められています。
農林水産省のHPに関税割当の詳しい解説がありますので
是非参考にしてください。
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