輸入貨物が荷積み、輸送、積み下ろし等の状況下で
何らかの変質、損傷が発生して実質的価格が変化した場合、
通関の際に申告する申告価格をインボイス価格ではなく
価値変動に準ずる実質的価格での申告はできるのかという点を
解説します。
どのような貨物であれ、輸入申告前に変質、損傷が発生する事は
あり得る事ですので、こういったケースの場合に利用できる関税評価の
計算方法は是非知っておきたいものです。
以下冷凍肉を積み地で誤って自然解凍させてしまい、
変色して実質的価格が大幅に下がったケースを例に検討します。
この例は買手が売手から冷凍肉を輸入し通関申告前に保税地域内で
貨物確認(内容点検)を行ったところ冷凍肉が変色し、
鮮度不良になっていたというケースです。
買主は売主による冷凍肉の冷凍保存状態の瑕疵が原因と特定し、
公認サーベイヤーによるレポートを作成し、実質的価格を算出。
買主は売主に契約時のインボイス価格を送金するが
税関への申告は公認サーベイヤーの算出した実質的価格で申告を行い、
損害に対する関税削減を行いたいという事です。
事例の結論は変質後の貨物の状態を公認サーベイヤーの
レポートに基づく価格での申告が認められる事になりました。
実質的価格にて申告をするには事前に税関との相談、
根拠を示す書類等の提出が必要です。
上記の関税評価手続きは以下の通達に根拠を置きます。
関税定率法基本通達 4 の 5-1
4の5―1 法第4条の5の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
⑴ 「その輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて輸入申告(等)の時までに
輸入貨物に変質又は損傷があつた」とは、輸入貨物の取引に関する契約等において取
り決められた性質、形状、数量等を基準として、輸入申告等の時までに当該輸入貨物
に変質又は損傷が生じたことをいう。したがって、輸入貨物の取引に関する契約等が
当該貨物につき一定の変質又は損傷が生じた場合をも予想して締結されているとき
(例えば、損傷率が3%以下の場合には、値引きの対象とならないことを取り決めているとき)には、同条の規定の適用はないので留意する。⑵ …省略
⑶ 同条の規定を適用する場合には、輸入申告に際し、その変質又は損傷に関する明細書(適宜の様式による。)を添付させる。
基本的にこのような関税評価に関わる申告を行う場合は
一般的に以下の書類が要求されると思われます。
1,サーベイヤーレポート等の根拠書類
2,評価申告書Ⅱ
3,税関への事情説明書(自主作成)
他にも状況によって要する書類が変わってくる場合がありますので
早めの事前相談をお勧めします。
注意点は通関前に保税地域、保税倉庫内での
貨物確認(内容点検)を行い、事実が判明したという状況ですので
輸入許可後では全く別の話になりますのでご注意下さい。
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