EPAを適用して関税削減を行う際に必要な原産地証明の内容に誤りが
あるにもかかわらず特恵関税が適用され、後日税関の検認や事後調査
の対象になった場合はどうなるのか、実例を紹介します。
輸入者AはEPA締約国B国からココアパウダーを輸入する際に当該品目は
B国とのEPA上の締約国原産品であるという内容の原産地証明を税関に提出し、
特恵関税の適用を受ける事になりました。
※ココアパウダー(HSコード1805.00)の品目別原産地規則例は以下の通りです。
第一八・〇五項又は第一八・〇六項の産品への当該各項以外の項の材料から
の変更(非原産材料である第一八・○一項のカカオ豆を使用する場合には、
東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において収穫され、採取され、又は
採集される場合に限る。)(※規定内容は協定によって異なるので注意)
輸入申告時には当該ココアパウダーには非原産材料であるカカオ豆(HS1801)が
使用されているが当該品目は東南アジア諸国連合の加盟国から調達したもので
あるため、品目別原産地規則は満たすという申告内容でした。
そこで事後の調査において税関が輸入者にカカオ豆の配合詳細を確認したところ
以下の成分構成であることを確認しました。
E国 (東南アジア諸国連合の加盟国) (30%),
F国 (東南アジア諸国連合の加盟国) (40%),
アフリカ (30%).
上記成分配合を見るとE国とF国は東南アジア諸国連合の加盟国であるため、
問題はありませんが、アフリカ原産のカカオ豆については当該品目の品目別
原産地規則を満たさないのではないかという疑いを持つ事になりました。
そこで更に輸入者に調査を行うも、進展が得られなくなってしまったため
輸出国であるB国に対し検認要請を行う事になりました。
調査の結果当該「カカオ豆」は品目別原産地規則を満たすものではない事が
判明し、当該品目は特恵否認の対象となり、輸入者Aは適切な修正、追徴関税
の支払いを余儀なくされることとなりました。
本事例では輸入者が意図して行ったのかどうかは不明ですが、税関の調査に
対し、カカオ豆の一部がアフリカ産である事を自身で証明している所から鑑みる
と単なる知識不足が原因でこのような結果になってしまったのではないかと考えます。
出典:GUIDE TO COUNTER ORIGIN IRREGULARITIES (EXCLUDING FRAUD)
コメントを残す