アメリカでHSコード: 6404.19.3960に分類される靴を輸入する場合、関税率は
37.5%になります。
(本底がゴム製、プラスチック製、革製又はコンポジションレザー製で、甲が紡織用繊維製のものに限る。)
一般的によくある普通の靴ではありますが、この靴がスポーツシューズとしても使える
機能を持ってる場合、関税率を20%に(マイナス17.5%)にする事ができる可能性があ
ります。
通常の外出で使用する靴ではあるがそのままスポーツ用にも使える歩行&運動両用の
靴として関税削減を行う為にアメリカ税関はどの部分を重視するかを紹介します。
靴の分類事例
以下に一般的な靴とスポーツシューズの分類事例を紹介します。
通常の靴 HS:6404.19
ドイツ税関
DEBTI28444/19-1
2019-07-17
ドイツ税関
DEBTI28444/19-1
2019-07-17
Classified as HS: 6404.11 (Sports Shoes)
イギリス税関
GB123015822
2013-07-11
イギリス税関
NLRTD-2009-000266
2009-03-24
一般の靴とスポーツシューズの違い
上記の事例を見てみると両者は異なるHSコードで分類はされていますが
個人的に見た目に大きな差があるようにはあまり感じません。
そのため、一般の靴とスポーツシューズの定義を明確にする為、以下の
CUSTOMS BULLETIN AND DECISIONS, VOL. 54, NO. 41, OCTOBER 21, 2020.を参考に
すると裁判所はスポーツシューズの定義としてデザイン、足の位置を固定する甲の
特性、衝撃や摩耗からの保護機能があげられると判断しました。
更にアメリカ税関による事前教示回答事例CROSSの実例H236274を見ると
アメリカ独自の分類基準Additional U.S. Note 2 to Chapter 64によると
スポーツシューズはアスレチック用途専用である必要はないが、そのような外観、
品質、特性を有する必要があるという事です。
※Additional U.S. Note 2 to Chapter 64 はこちらから確認できます。 census
結論
上記の事例を見ると通常の靴にスポーツ用途的外観、品質、特性(足の位置を
固定する甲の特性、衝撃や摩耗からの保護機能など)を追加する事によって
大幅な関税削減になる可能性があります。
実際このような事例で貿易企業とアメリカ税関でのやり取りが事前教示の記録に
残されています。
輸入者はアメリカ税関に対しスポーツシューズとして事前教示申請をしたが
一般的な靴としてHSコード: 6404.19.3960に分類され、関税率は37.5%になりました。
実際の記録はこちらから参照できます→N279073
輸入者はこれを不服として再度アメリカ税関に審査の再検討を要請したところ
当該品目はスポーツ用としても利用できると判断し、6404.11.90(関税率20%)に
分類変更を行いました。(事例H285615によって再分類)
アメリカ向けにHSコード: 6404.19.3960に分類される一般的な靴を輸出する事業者様
はスポーツにも使える特性を追加するコストと差額の関税率を比較考量し、どちらが
利益ができるかを検討してみてはいかがでしょうか。
簡単な事ではないかもしれませんが継続的に大量に輸出する場合、このような
タリフエンジニアリング手法が大きな利益をもたらす可能性があります。
※検討する際は必ず事前に必ずアメリカ税関に事前教示申請等確認を行ってください。