日本語でさえ説明が難しい化学品のHS分類方法を
外国人に英語で説明するとなったらどうすればよいのでしょうか?
こういったケースを想定してシンガポール税関が
英語で化学品のHS分類の方法を紹介したPDF冊子を作成しています。
Guidebook on the HS Classificationof Chemicals & Chemical Products
海外と化学品関連のやり取りをする際に役立つと思います。
世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
日本語でさえ説明が難しい化学品のHS分類方法を
外国人に英語で説明するとなったらどうすればよいのでしょうか?
こういったケースを想定してシンガポール税関が
英語で化学品のHS分類の方法を紹介したPDF冊子を作成しています。
Guidebook on the HS Classificationof Chemicals & Chemical Products
海外と化学品関連のやり取りをする際に役立つと思います。
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貿易実務、通関を行う上で有機化学品のHSコードを特定する場合、
適切なHS分類を行うのは困難である事が多いと考えます。
本記事では有機化学品のHSコードを特定する為の手段をいくつか紹介します。
化学品のHSコードは一般的に6部の28類から38類に分布しており、対象品目を
探すには大変手間がかかります。
そこで以下のようなフローチャートを参考にして頂ければ28類から38類のどこに
分類されるのかおおよその検討がつきますので是非ご利用下さい。
化学品名、CAS番号等からHSコードを分類することができるデータベース
ECICS Consultationを紹介します。
こちらはEUが提供している化学品データベースです。
検索結果は以下のようになります。
赤丸がCNcodeとなっておりますが、HSコードと同義です。
(Combined Nomenclatureの略でEU内で使われるHSコード)
青丸は化学品の名称で、IUPAC命名法での検索が可能です。
黄色の丸がCAS番号です。
CASコードは判明しているがHSコードが不明な場合や、
化学品名は判明しているがCASコードが不明でHSコードも不明な場合等
様々なケースがありますが、このデータベースによって
これらの情報を横断的に検索する事が可能です。
※CASコードとHSコードが直接繋がらないケースもありますので
特定のCASコードに対して表示されたHSコードはあくまでも参考として検討し、
最終的にはHS分類における規則等から分類決定する必要があります。
化学品名もCASコードもわからないが化学構造式(画像)だけが
判明している場合は以下のようなツールを使用してお絵描きのように
構造式を書いてCASコードや化学品名を調べる事も可能です。
例えば以下のような化学式があったとして、化学品名もCASコードも
不明であるという場合。
ChemSpiderのChemical Structure Searchを使用して順に化学式を描いていきます。
画面左側のベンゼン環のベースを選択し、キャンバスに貼り付けます。
画面右側から臭素Brを選択し、貼り付けます。
炭素をベンゼン環と臭素に結合させて
再度画面左側から二重結合線を選択し、炭素同士を結合すると完成です。
描き終わったら画面下のSEARCHボタンをクリックすると以下のような情報が表示されます。
赤枠が品名、青枠がCASナンバーとなっており、その他にも様々なデータを
得る事が可能です。
■ChemSpider解説動画
化学構造式からCASコード等の情報を得るツールはいくつかありますので参考にして下さい。
※リンク先の情報が確実である保証はできませんのでご自身の責任でご利用ください。
Chemical Structure Search – ChemSpider
Structure Search – Sigma-Aldrich
Chemical search – draw chemical structure | Chemspace
上記ツールではHSコードまで調べる事は基本的にはできません。
仮にHSコードの情報が表示されていたとしても参考程度に留めておき、
得られた品名やCASコード等の情報を参考にして、ECICS Consultation等を
活用してHSコード(CNコード)の候補を絞り込む事をお勧めします。
これまで紹介したツールは非常に便利ではありますが、その反面こういった
ツールでは複雑な構造の化学品に対するHS分類の原則ルールや例外ルール等が
考慮されづらく、誤ったHSコードを選定してしまう可能性があります。
その為、上記ツールで得られる情報はあくまでも
範囲の絞り込みや推測として参考程度に活用して頂き、最終的にはHS分類の
原則に従い最終選定や税関の発行する事前教示照会を行う必要があります。
HSコード分類の原則は「関税率表の解釈に関する通則」を理解する
必要があります。
この通則の解説と化学品のHS分類に特化した解説資料を紹介します。
関税率表の解釈に関する通則、合成重合体及びこれに関連する物品の分類
(東京税関業務部 主席関税監査官部門作成)
有機化学品のHSコード分類原則に関する資料として最もお勧めなのが以下の
有機化合物の分類集です。
化学式と比較してHSコードの頭4桁(項)まで特定する事ができます。
以下のようにHSコード2904に属する化学品の化学式の例や品名が
列挙されているためHSコード分類作業がスムーズになります。
有機化合物の分類集の一覧から各化学品の種類ごとに調べます。
ツール等によりHSコードの絞り込みや推測ができていれば、当該HSコードの
頭4桁と同じ資料を参考にし、化学式を比較する事で特定の制度が上がります。
第1節 | 炭化水素並びにそのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.01項 | 非環式炭化水素 | |
第29.02項 | 環式炭化水素 | |
第29.03項 | 炭化水素のハロゲン化誘導体 | |
第29.04項 | 炭化水素のスルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体(ハロゲン化してあるかないかを問わない。) | |
第2節 | アルコール並びにそのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.05項 | 非環式アルコール並びにそのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.06項 | 環式アルコール並びにそのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第3節 | フェノール及びフェノールアルコール並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.07項 | フェノール及びフェノールアルコール | |
第29.08項 | フェノール又はフェノールアルコールのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第4節 | エーテル、アルコールペルオキシド、エーテルペルオキシド、ケトンペルオキシド、エポキシドで三員環のもの、アセタール及びヘミアセタール並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.09項 | エーテル、エーテルアルコール、エーテルフェノール、エーテルアルコールフェノール、アルコールペルオキシド、エーテルペルオキシド及びケトンペルオキシド(化学的に単一であるかないかを問わない。)並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.10項 | 三員環のエポキシド、エポキシアルコール、エポキシフェノール及びエポキシエーテル並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.11項 | アセタール及びヘミアセタール(他の酸素官能基を有するか有しないかを問わない。)並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第5節 | アルデヒド官能化合物 | |
第29.12項 | アルデヒド(他の酸素官能基を有するか有しないかを問わない。)、アルデヒドの環式重合体及びパラホルムアルデヒド | |
第29.13項 | 第29.12項の物品のハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第6節 | ケトン官能化合物及びキノン官能化合物 | |
第29.14項 | ケトン及びキノン(他の酸素官能基を有するか有しないかを問わない。)並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第7節 | カルボン酸並びにその酸無水物、酸ハロゲン化物、酸過酸化物及び過酸並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.15項 | 飽和非環式モノカルボン酸並びにその酸無水物、酸ハロゲン化物、酸過酸化物及び過酸並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.16項 | 不飽和非環式モノカルボン酸及び環式モノカルボン酸並びにこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物、酸過酸化物及び過酸並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.17項 | ポリカルボン酸並びにその酸無水物、酸ハロゲン化物、酸過酸化物及び過酸並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.18項 | カルボン酸(他の酸素官能基を有するものに限る。)並びにその酸無水物、酸ハロゲン化物、酸過酸化物及び過酸並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第8節 | 非金属の無機酸のエステル及びその塩並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.19項 | りん酸エステル及びその塩(ラクトホスフェートを含む。)並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第29.20項 | 非金属のその他の無機酸のエステル(ハロゲン化水素酸エステルを除く。)及びその塩並びにこれらのハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体及びニトロソ化誘導体 | |
第9節 | 窒素官能化合物 | |
第29.21項 | アミン官能化合物 | |
第29.22項 | 酸素官能のアミノ化合物 | |
第29.23項 | 第四級アンモニウム塩、水酸化第四級アンモニウム及びレシチンその他のホスホアミノリピド(レシチンその他のホスホアミノリピドについては、化学的に単一であるかないかを問わない。) | |
第29.24項 | カルボキシアミド官能化合物及び炭酸のアミド官能化合物 | |
第29.25項 | カルボキシイミド官能化合物(サッカリン及びその塩を含む。)及びイミン官能化合物 | |
第29.26項 | ニトリル官能化合物 | |
第29.27項 | ジアゾ化合物、アゾ化合物及びアゾキシ化合物 | |
第29.28項 | ヒドラジン又はヒドロキシルアミンの有機誘導体 | |
第29.29項 | その他の窒素官能基を有する化合物 | |
第10節 | オルガノインオルガニック化合物、複素環式化合物及び核酸並びにこれらの塩並びにスルホンアミド | |
第29.30項 | 有機硫黄化合物 | |
第29.31項 | その他のオルガノインオルガニック化合物 | |
第29.32項 | 複素環式化合物(ヘテロ原子として酸素のみを有するものに限る。) | |
第29.33項 | 複素環式化合物(ヘテロ原子として窒素のみを有するものに限る。) | |
第29.34項 | 核酸及びその塩(化学的に単一であるかないかを問わない。)並びにその他の複素環式化合物 | |
第29.35項 | スルホンアミド | |
第11節 | プロビタミン、ビタミン及びホルモン | |
第29.36項 | プロビタミン及びビタミン(天然のもの及びこれと同一の構造を有する合成のもの(天然のものを濃縮したものを含む。)に限る。)並びにこれらの誘導体で主としてビタミンとして使用するもの並びにこれらの相互の混合物(この項の物品については、溶媒に溶かしてあるかないかを問わない。) | |
第29.37項 | ホルモン、プロスタグランジン、トロンボキサン及びロイコトリエン(天然のもの及びこれと同一の構造を有する合成のものに限る。)並びにこれらの誘導体及び構造類似物(主としてホルモンとして使用するもので、変性ポリペプチドを含む。) | |
第12節 | グリコシド及びアルカロイド(天然のもの及びこれと同一の構造を有する合成のものに限る。)並びにこれらの塩、エーテル、エステルその他の誘導体 | |
第29.38項 | グリコシド(天然のもの及びこれと同一の構造を有する合成のものに限る。)及びその塩、エーテル、エステルその他の誘導体 | |
第29.39項 | アルカロイド(天然のもの及びこれと同一の構造を有する合成のものに限る。)及びその塩、エーテル、エステルその他の誘導体 | |
第13節 | その他の有機化合物 | |
第29.40項 | 糖類(化学的に純粋なものに限るものとし、しよ糖、乳糖、麦芽糖、ぶどう糖及び果糖を除く。)並びに糖エーテル、糖アセタール、糖エステル、糖エーテルの塩、糖アセタールの塩及び糖エステルの塩(第29.37項から第29.39項までの物品を除く。) | |
第29.41項 | 抗生物質 | |
第29.42項 | その他の有機化合物 | |
上記資料からHSコードの頭4桁が確定できれば次は実行関税率表にて
4桁以降のHSコードを特定します。
その際は同時に実行関税率表29類の類注や29類解説も確認する事によって
HSコード分類の原則や除外規定の確認ができます。
税関が主催する品目特化型原産地規則セミナーの解説スライドを紹介させていただきます。
東京税関業務部総括原産地調査官による原産地規則説明会資料(平成27年3月版)
経済連携協定(EPA)に係る原産地規則の概要 - 輸入化学品を中心に –
東京税関業務部総括原産地調査官による原産地規則説明会資料(平成29年6月版)
経済連携協定に係る原産地規則の概要~化学品、ゴム製品及び木製品の輸入を中心に~
東京税関業務部総括原産地調査官による原産地規則説明会資料(平成29年4月版)
経済連携協定に係る原産地規則の概要~輸入化学品を中心に~
税関への事前教示は一般向けに公開されておりますので、同種同類の化学品が
過去にどのように分類されたのかを確認する事ができます。
事前教示回答事例データベース(日本の税関による事前教示事例検索)
アメリカ税関(CBP)事前教示データベース
EU税関による事前教示データベース
その他以下の資料も化学品のHSコード分類に役立ちます。
16918の化学商品(書籍)
ゼーラム(有料データベース)
nite(品名からcasや化審法、規制の検索ができるHSは含まない)
最後に英語で化学品のHS分類の方法を紹介したPDF冊子を紹介します。
Guidebook on the HS Classificationof Chemicals & Chemical Products
海外と化学品関連のやり取りをする際に役立ちそうです。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
日欧EPAの締約内容詳細を紹介します。
欧州への輸出、欧州からの輸入を予定している方は是非一度ご確認を!
関税評価
–international版
–EU版
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
関税評価はWTO加盟国が批准している協定及び関税定率法に沿って
課税価格の決定方法を定めています。
根拠法令はGATT関税評価協定(一般協定第7条)となり
WTOの協定文をベースに決定されます。
基本的な決まり事は上記協定文にて定義されておりますが
各国ごとに異なる取り扱い方法がある場合もあるので
事前に課税価格決定方法を確認する事をお勧めします。
評価に関する事前教示
関税評価の規定は非常に奥深く、全ての貿易形態に対して
課税価格を確定するのは非常に困難です。
長く通関士をやっていても知らないことだらけでした。
この部分を甘くみると後に事後調査で差額関税を過少申告加算税と
共に請求される可能性がありますのでご注意ください。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
関税削減ツールの一つとして
AI(人工知能)の使用を検討しております。
今のところ考えているのは
1.世界中の貿易統計データ(通関統計)を使用して
原産地規則を満たす一次、二次製品を安く継続的に調達できる国を
「ネットワーク分析」という手法で特定する方法。
2.スパゲッティボウル現象と呼ばれる
世界中の自由貿易協定の複雑な条約、原産地規則をスムーズに
理解し、最大限に利用するための「自然言語処理」
3.化学品などの難解なHS品目分類を行う「機械学習」
4.貿易取引、電子決済、通関等手続き、原産地証明、原産地証明書等の
ブロックチェーン化によるスムーズな国際取引に関する技術
という路線で考えております。
時間はかかるかもしれませんが日欧EPA、TPPなどを含め
世界中に広がる自由貿易協定ネットワークを最大限活用する
関税削減の為のAIツールを提供する事を目標としています。
私は現在AI(人工知能)をAidemy様の講座で学習中です。
こちらはプログラミング入門からディープラーニングまで
無料で学習できます。
いずれ貿易実務にもAIが必要不可欠な時代が来ると思いますので
興味のある方にはお勧めです。
現時点で私が学習している内容は
タイタニックの乗客のデータセットを使用した教師有り学習です。
乗客データ(年齢、性別、部屋の等級、乗船地等)をcsvから読込み
どのような分類に属する人が生存、あるいは死亡したのかを
AIに判断させるというプログラムです。
工夫した点は以下の2点です。
1.複数の分類器のスコアをグラフに出す事
2.データクレンジングがスコアに与える影響を知る事
結果
1.今回のデータはランダムフォレストが一番有効と判断
2.Age(年齢)の値Naをfillnaで処理するよりも
行ごと削除してしまった方が
スコアが高くなる事を知る事ができました。
最終更新日 By 河副太智 Leave a Comment
2018年1月25日:トランプ大統領がついにTPP参加表明を示唆
現時点ではTPPはアメリカにとっては最悪の協定である事を主張しつつ
アメリカによって有利な条件を織り込む事でTPP参加はありうるとの事
いつものトランプ大統領とは少し違った雰囲気がありますね
トランプ大統領支持者はどのように考えるのでしょうか?
引き続きNAFTAの交渉は続けるという意思についても
言及しております。
今後どのような展開になっていくのか、
進捗あり次第報告させていただきます。