令和2事務年度
令和元事務年度と平成30事務年度
平成28事務年度と平成28事務年度
出典:財務省HP
世界のHSコード分類事例を用いた関税削減手法を紹介します。
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ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス、日本、オーストラリア、
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「自己申告制度」利用の手引き(明細書、関係書類の事例が豊富)
地域的な包括的経済連携協定 概要 令和3年12月財務省関税局経済連携室
出典:RCEP物品貿易について~原産地規則中心に~
RCEP協定原産地規則について
RCEP協定に係る業務説明会Q&A
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PVCとポリエステル生地の組み合わせによるのプールラウンジャーのHSコードは繊維製品か(HS:6307)あるいはプラスチック製品なのか(HS:3926)?
アメリカの税関(CBP)による分類事例を紹介します。 “HQ H298313”
出典:amazon.com ©AQUA-LEISURE INDUSTRIES, INC.
当該プールラウンジャーは約1m程度のサイズでPVCの浮きとポリエステル生地の
混合物品となっております。
PVCの重量は全体重量の30%、価額は総額の16%となっており、
ポリエステル生地重量は全体重量の70%、価額は総額の84%となっております。
PVCが浮きの役割となり、生地が利用者の体をサポートする形になります。
米国税関はこれを繊維製品に分類(HS:6307) NY N270096.
6307 その他のもの(ドレスパターンを含むものとし、製品にしたものに限る。)
* * *
6307.90 その他のもの
輸入者Aqua Leisure Industries はプラスチック製品であると主張(HS:3926)
3926 その他のプラスチック製品及び第39.01項から第39.14項までの材料
(プラスチックを除く。)から成る製品
* * *
3926.90 その他のもの
本品はPVCとポリエステル生地の混合物品であり、PVCの重量は全体重量の
30%、価額は総額の16%となっており、ポリエステル生地は全体重量の70%、
価額は総額の84%となり、生地がユーザーの体を支える役割を担っているが、
PVC製の浮きの存在もまた重要であり、どちらが重要な要素であるかを判断
する事は適切ではない為、通則3(c)を適用し、後列のHSコードを適用する
事とし、3926と6307では6307が後列であるため本品は6307に分類する。
出典:NY N270096.
輸入者であるAqua Leisure Industriesは裁判所Court of International Trade (“CIT”)
の判例Swimways Corp. v. United Statesを持ち出し、本品に類似する品目がPVC
製の浮きの方が重要であるという判断で3926に分類された事例があると主張し、
NY N270096における6307への分類を見直すよう税関に要求。
Court of International Trade (“CIT”)の判例Swimways Corp. v. United Statesにおいて
裁判所は同種の貨物において以下のように意見を述べました。
本品にとってPVCの浮き、ポリエステル生地の両方とも重要である事は明白で
はあるがPVCの浮きがある為に本品は水面に浮く為、「浮き」こそが主要な機能
である。
上記裁判所の判断により、本品の重要な要素はPVC製の浮きという事に
なり、HSコード3926に分類される事となり、米国税関は事前教示N270096を
撤回する事になりました。
出典: CUSTOMS BULLETIN AND DECISIONS
本品のPVCの重量は全体重量の30%、価額は総額の16%となっており、
ポリエステル生地は全体重量の70%、価額は総額の84%となっております。
そして通則の3(b)(VIII)では
「重要な特性を決定するための要素は、物品の種類によって異なる。
例えば、その材料若しくは構成要素の性質(容積、数量、重量、価格等)
又はその物品を使用する際の構成材料の役割によって決定することになる。」
とある事から一見6307への分類が妥当であると考えました。
しかし、それでもどちらが重要かが判断できないというのであれば
通則3(c)を適用してHSコードの数字上の配列において最後となる項である
6307に分類するのが良いのではないかと個人的には考えます。
そうでないと「浮き」と「繊維」のどちらが重要かという点で国や文化、
審査する人間によって結論がバラバラになり、収集がつかなくなる恐れが
あるからです。
また、「浮かす」事が重要というのは理解できますが、繊維の部分が無ければ
ただの「浮き」になってしまい、それはそれで製品としての役割を果たさない
とも考えますので初回の判断N270096で通則3(c)を用いた分類手法が適していた
のではないかと考えます。
しかし、本事例では輸入者側が自社にとって有利な税率に判断された判例
を税関に持込み、再審査を要求した事により判断を覆す事に成功しました。
恐らくこのような判例が無ければ輸入者側が税関の判断を覆すのは難しか
ったのではないかと考えます。
自社の通関する品目をより有利な関税率が適用されるHSコードに分類させる
にはこのように過去の判断事例をくまなく調査する事が重要かと考えます。
ちなみにですが他国におけるプールラウンジャーのHSコード分類事例を
調べてみますと100%プラスチック製の場合は3926に分類されるかと思いきや
9503のおもちゃに分類されている事例もありました。
様々な議論を呼びそうな品目である為、輸入前に事前教示事例調査は
入念に行ったほうが良さそうです。
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プラスチック製の自動車用アイススクレーパーはHS3926かHS8708か?
本記事ではアメリカとEUによる分類方法の違いについて解説します。
アメリカ税関の事前教示事例(CROSS) で “ice scraper”を検索すると
その多くが8708(自動車用付属品)で分類されています。
個別事例で N022822を見ると以下の品目が自動車用付属品として
HSコード8708.99に分類されています。
なぜアメリカ税関はアイススクレーパーを自動車用付属品に
分類したのでしょうか?
それにはまず”付属品”の定義を理解する必要があります。
付属品の定義(関税率表解説84.66項(B))
機械に関連して使用される補助装置(例えば、より広範囲な作業を行え
るように機械を変える互換性の装置)、精度を高める装置及び機械の主
たる機能に関連した特殊な作業を行う装置
事前教示HQ 082080では上記の定義を基にして「アイススクレーパーは
利用者が速やかに窓の雪を除去する事ができる為、自動車の用途拡張を
行うものであるため、自動車用付属品に分類する」としております。
更に本決定ではアイススクレーパーは自動車以外に使用する事は想定で
きないと結論づけております。
そのような考え方がある為アメリカ税関ではアイススクレーパーを自動車
用付属品として分類するに至りました。(HS:8708).
EU諸国の場合、アメリカ税関とは異なり「材質」で分類を行います。
(HS:3926.90)
ドイツの事例 DEBTI19707/18-1
フランスの事例 FR-E4-2007-004992-R
どちらも自動車の窓に使用する品目であるという前提ではありますが
EU諸国ではこれらをプラスチック製品のその他(3926.90)に分類して
おります。
おそらく自動車以外にも用途があると判断したものと考えられます。
特定の品目が自動車の部分品、或いは付属品として分類される為には
一般的に以下の要件を満たす事が必要です。
17部総説(III)
(a)87.01 項から 87.05 項までの車両に専ら又は主として使用
するものであること。
(b)HS解説17部注2の規定によって除外されているものでないこと。
(c)この表の他の類において、より特殊な限定をして記載をして
いるものでないこと
この中でも特に(a)の「専ら又は主として」という部分において
各国あるいは同国内の審査官によって意見が分かれる事が多いです。
アイススクレーパーは自動車以外に使用できないと考える人もいれば
自動車以外にも使用可能だと考える人もいます。
その為「専ら又は主として」という定義はグレーゾーンとして捉えられ
る事もしばしばあります。
私の知る限りこの問題を解決する方法はありません。
できる対応策としては事前に各国の事前教示事例を確認し、国によって
又は人によって意見相違が極端に大きくないかを調査する事が重要と
考えます。
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部分品とは完成品と結合して機能するための構成部品であり、
これ無くしては完成品として機能しないものをいう。
出典: United States v. Willoughby Camera Stores, Inc., 21 C.C.P.A. 322 (1933)
機械に関連して使用される補助装置(例えば、より広範囲な作業を
行えるように機械を変える互換性の装置)、精度を高める装置及び
機械の主たる機能に関連した特殊な作業を行う装置である。
(8466項解説(B))
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オーディオアクセサリーキットは小売り用セットとして一つのHSに
分類できるか?それとも分離課税対象か?
当該品目は以下のアイテムを小売り用セットにした物となります。
①カーチャージャーアダプター
②イヤホンスピリッター
③イヤホン
④USBケーブル
⑤布製の袋
小売り用セットとして通関時に提示される品目を一括して一つの
HSコードに分類できるか、あるいは一つ一つ分離してHSコードを
採番していくのかは通則の3(b)(X)(5P)を参照して判断します。
通則3(b)(X)における小売り用セットの定義は以下になります。
この通則の適用上、「小売用のセットにした物品」とは、次の物品をいう。
(a)異なる項に属するとみられる二以上の異なった物品から成るもの(したがって、例えば、
6本のフォンデューフォークは、この通則の意味する範囲のセットとはみなさない。)で、
(b)ある特定の必要性を満たすため又はある特定の活動を行うため、共に包装された産品又
は製品から成り、かつ、
(c)再包装しないで、最終使用者に直接販売するのに適した状態(例えば、箱若しくはケー
スの中に又は厚紙の上)に包装されている物品
オーディオアクセサリーキットの構成をこの通則3(b)(X)における
小売り用セットの定義に当てはめると(a)(c)は満たしますが(b)は
満たさないという結論に至ります。
上記のオーディオアクセサリーキットは全ての品目を使用する事
によって一つの目的を達成するという訳ではなく、それぞれ個々の
目的を有する品目であると判断されるため、本品はHS分類上の小売
り用セットとはみなされず分離課税対象となりました。
分離課税対象となる事により上記キットはそれぞれ以下のように
HSコードを分離して申告する事になります。
①カーチャージャーアダプター(HS:8504.40)
②イヤホンスピリッター(HS:8536.69)
③イヤホン(HS:8518.30)
④USBケーブル(HS:8544.42)
⑤布製の袋(HS:6307.90)
出典: Customs Bulletin Weekly, Vol. 54, December 16, 2020, No. 49