日EU・EPA において、いわゆる第三国インボイスが発行される場合、当該
第三国に所在する者が輸出者又は生産者に代わって、原産地に関する申告
文を記載する事ができるのかという点について解説させて頂きます。
結論から申し上げますと締約国外に所在する第三者は原産地に関する申告文
をインボイスに記載する事はできません。
原産地に関する申告文は「締約国に所在する輸出者又は生産者」が作成する
事が原則となっており、「輸出者(生産者または貿易事業者)」が輸出締約
国に所在する一方で仕入書を発行する貿易事業者が第三国に設立されている
場合、第三国の貿易事業者が発行する文書上に「輸出者」が原産地に関する
申告を作成することは想定されていません。
この場合、原産地に関する申告は、輸出締約国に所在する「輸出者」(第三
国に設立された貿易事業者ではなく、輸出締約国に所在する生産者や貿易事
業者)により発行された商業上の文書(例えば、デリバリーノート)に記載
されなければなりません。
また、「輸出者」(生産者又は貿易事業者)によって発行された文書上に作成
された原産地に関する申告に基づく関税上の特恵待遇の要求は、仕入書が第三
国において発行されたことのみを理由として、否認はされません。
また、原産地に関する申告に使用される「その他の商業上の文書」とは
協定上の定義はありませんが、商業取引が記録された書類と考えられます。
したがって、「商業上の文書」は、仕用書そのもの以外に、プロフォーマイン
ボイス、船積書類(パッキングリスト、デリバリーノート)等の各種文書が含
まれます。
原産地に関する申告に用いられる仕入書その他の商業上の文書には、原産品に
ついて特定するのに十分詳細な説明があることのみが協定上の要件として求め
られます。なお、原産品ではない他の産品が同仕入書その他の商業上の文書に
含まれる場合には、原産品と明確に区別して下さい。
原産地に関する申告は、以下の条件を満たせば、仕入書その他の商業上の文書
以外の別紙(例えば、白紙もしくは企業名のレターヘッド入りの用紙)に作成
することができます。
– 仕入書その他の商業上の文書から当該別紙との関連が明らかな場合、
または
– 当該別紙から仕入書その他の商業上の文書との関連が明らかな場合
このような場合には、当該別紙を仕入書やその他の商業上の文書の一部とみなす
ことができます。