輸入予定の貨物の関税率を事前に正確に確定する方法に
事前教示という制度があります。
書面にて税関からの回答が発行されますので、輸入前に関税額の確定や
正しい申告を行う上で非常にメリットのある制度です。
■税関HP:事前教示案内ページ
HS分類の事前教示
原産地規則の事前教示
関税評価の事前教示
減免税に係る事前教示
しかし、いいことだけではなくデメリットもいくつか存在しますので
事前教示活用前に以下のような事情を把握して頂ければと思います。
デメリット1:面倒くさい
書面にて事前に関税率等を確定するという事は、
実際の通関審査時に絶対に事前の約束を守らなくてはいけないという
税関側のプレッシャーがありますので、絶対に正しい判断をする為に
求められる資料や質問は通常の申告時の審査より多くなります。
下手すると答えの出ない無限ループに陥る危険性もあり、
大切な時間を大幅に失う事にもなりかねません。
こればっかりは実際に関税監査官等に相談してみないと
どれくらいの資料を要求されるかがわかりませんので
事前教示が必要だと思ったら早めの質問をお勧めします。
デメリット2:事情が変わると無効になるかも
HSコードを事前に確定させても何らかの事情で
成分や製造工程が変わってしまうと、事前教示の相談時とは
異なるHS分類になってしまう事もあり得ます。
そのような場合にはせっかく苦労して取得した事前教示の
意味がなくなってしまいますので、
くれぐれも製造工程検討の段階で事前教示申請は避けるべきでしょう。
デメリット3:情報が公開されてしまう
上記で紹介した4つの事前教示の回答は税関HPにて原則公開されす。
照会者名、製品名は公開されませんが成分、製造工程など
公開したくない内容も公開されてしまう事も考えられます。
競争相手に情報を提供してしまう恐れや特許出願手続きにおいて
壊滅的なデメリットに結び付きそうですが、秘密事項については
取り扱いの規定が存在します。
※以下税関HP「事前教示制度よくある質問と回答」より引用
文書回答の内容は、行政サービスの一環として一般の納税者の予測可能性を確保する観点から、回答後原則として、税関ホームページにおいて公開することとしています。公開にあたっては、照会者名や取引関係者名等は原則匿名にして公開します。
ただし、文書回答の内容が公開されることにより不利益を受けるおそれがある場合等、照会者が正当な理由を有する場合で、照会者から非公開期間(180日を超えない期間)の設定の要請があったものについては、当該要請に係る期間後に公開します。
また、非公開期間が経過した後は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示情報に該当すると考えられる部分や守秘義務に抵触すると考えられる部分については、当該部分を伏せて公開することとなります。
どのようにして事前教示照会者の秘密を保護してくれるのかは
「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」にカギがありますので
関税率の事前教示で機密情報が公開?にてご案内させていただきます。
デメリット4:輸出先のEPA適用に関してはアドバイスに留まる
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