目次
FTAを使用した関税削減の可能性
輸入国Aの商社がFTA締約国であるカンボジアから履物を輸入しようとしています。当該履物はカンボジアにて製造され、履物を製造する際、カンボジア内にて調達した各種原料とFTA非締約国から調達した各種原料を使用しています。このような製造方法で輸入された履物はFTAの原産地規則を満たし、関税の削減の対象になるのでしょうか?
審査情報の交付年月日
2024年5月8日
製品名
履物
HSコード
6402.99-
最終製品に対応する原産地規則
品目別規則:「CC」
原材料一覧
原材料名 | HSコード | 代表的な品目 | 原産地認定 |
---|---|---|---|
アッパー材 | 第39類 | プラスチック | 非締約国 |
アッパー材 | 第54類 | 人造繊維 | 非締約国 |
アッパー材 | 第59類 | コーティング繊維 | 非締約国 |
中底材 | 第39類 | プラスチック | 非締約国 |
中底材 | 第48類 | 紙と板紙 | 非締約国 |
アウトソール材 | 第39類 | プラスチック | 非締約国 |
中敷材 | 第39類 | プラスチック | 非締約国 |
接着剤等 | 第35類 | グルー | 非締約国 |
製造工程
説明 |
---|
原材料の裁断 |
原材料の縫製 |
製品の組み立て |
認定理由
履物のHSコードは6402.99-です。したがって、この事例に適用される原産地規則は「CC」です。原材料の詳細を確認したところ、非原産材料が品目別規則の基準を満たしているため、製品はFTAの原産品として認定されます。
*「CC」とは「章の変更」を意味し、非原産材料が最終製品の製造過程でHSコードの2桁レベルで変更されることが求められます。
まとめ
この事例では、カンボジアで製造された履物を輸入する際、特恵関税を適用して関税削減を達成しただけでなく、総合的なコスト削減にも成功しました。これは、履物の構成要素となる原材料を第三国から安価に調達し、それらをカンボジアで裁断・縫製することによって実現しました。
FTAの原産地規則を満たすかどうかの判断は材料の多様性のため複雑ですが、一度この仕組みを確立すれば、長期的な関税削減の恩恵を受けることができます。関税専門家はこれらの複雑な規則を理解し、遵守するために重要な役割を果たします。
FTAは特恵関税率を活用することで、関税の削減と競争力の向上のために重要な機会を提供します。FTA規則を理解し適用することで、関税専門家は企業の輸入プロセスを最適化し、実質的なコスト削減を実現することができます。この事例は、戦略的な調達とFTA規則の遵守が、持続可能な経済的利益と競争力の向上にどのように寄与するかを示しています。
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