HSコードの分類は絶対的なものではなく、審査する人の考え方に
よって変動する事が多く、国によって分類先が異なる事も多々
あります。
今回は米国税関CBPにおける「3Dペン」の分類事例について紹介
させて頂きます。
上記のような「3Dペン」は主に子供を対象とした家庭内で使用される
機器で、プラスチック原料を電熱で溶かして様々な形を創作する事
ができます。
米国税関(CBP)は2013年12月18日に当該機器の対する事前教示において
本品は家庭用で使用する物として「家庭用電熱機器(HS:8516.79)」に
分類しました。事前教示番号:N248177
しかし、その後5年ほどが経過した2019年10月7日、米国税関(CBP)は上記
決定を変更し、「プラスチックを材料とする物品の製造機械(HS:8477.80)」
に分類すると発表しました。事前教示番号: H293445
変更の理由は「家庭内で使用される機器ではあるが、商用環境や
教育現場でも使用できる事から”家庭内”に限定する必要はない」という
ことでHSコード8477項の規定「プラスチックを材料とする物品の製造
機械」が最も適していると判断したようです。
本来この製品は子供が家庭内で使用する事だけが想定されていて、
その後に建築デザイン、アートデザイン、ものづくり、プラスチック部品
の修理・接着、教育、各種アイデアの展示といった分野への可能性が
見出されたのかもしれません。
そうであれば「家庭用電熱機器(HS:8516.79)」から「プラスチックを材料と
する物品の製造機械(HS:8477.80)」へのHSコード分類の変更は時代と共に
変化する人間の認識に対して相対的に変動する面もあると考える事ができ
るのではないでしょうか。
このような現象を目の当たりにすると関税削減におけるHSコードの分類に
おいては書面による事前教示が非常に重要であると痛感します。
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