サプライチェーンの製造工程に非原産材料のマジックテープがあり、
関税削減の為にそのHSコードを調べる場合、マジックテープという
名称で探しても当該名称は商標登録された名称ですので実行関税率表や
解説では残念ながらそのような名称での記述はありません。
事前教示検索でも同様にマジックテープという名称では特にヒット
しませんでした。
このような場合、どのようなキーワードでHSの解説や事前教示を探す
かが重要なポイントになります。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますがネットで調べたところ
マジックテープの一般名称は「面ファスナー」と呼ぶようです。
※Wikipediaより
関税率表や解説はお堅い名称で品目を特定している事もあるので
同じ品目であっても異なる名称で検索をすると永遠に答えに辿り
付かない事もあるので全く情報が出てこない場合はそもそも自分
が呼んでいる名称が関税率表で採用されていない可能性も考慮し、
類語で再検索する必要がある場合もあります。
(例:関税率表では「じゃがいも」ではなく「ばれいしょ」と呼ぶ等)
そこで税関の事前教示検索ページで「面ファスナー」というワード
で検索してみると以下のような事例を見つける事ができました。
ただ少し気になるのが分類されたHSコードが9606.10となっている
という部分です。
HSコード9606.10の規定では「プレスファスナー、スナップファスナー
及びプレススタッド並びにこれらの部分品」となっており、
面ファスナー(マジックテープ)は ファスナーの仲間としてみなさ
れているという事です。
「ファスナー」という用途から9606.10に分類されたのかと思いますが
どうも個人的に腑に落ちませんので海外の税関ではどうなのかを
調べてみました。
まずは米国税関CBPの事前教示を確認すると車いすサポート用の
面ファスナーが5806.10(パイル状の細幅織物)に分類されています。
(英語での事前教示ではMagic TapeやVelcroとは言わず
hook and loop fastenerと呼んでいます。)
次にEU税関事前教示を確認するとこちらもやはり5806.10に分類
されている事例があります。
日本の事前教示対象貨物は画像が無いので断定的な事は言えませんが
ほぼ同じ品目だと思いますのでファスナーという用途で分類するか
材質で分類するかという点で国ごとに異なる判断基準があるのかも
しれません。
サプライチェーン上に非原産材料のマジックテープがある場合、
国ごとに事前確認をした方が良いかもしれません。
(日本だけ特殊なのかもしれませんが…)
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